【2017年11月3日執筆】
今回のテーマはソシャゲの”2モノ”に関する考察です。
今後のトレンドとなるかはまだ分かりませんが、複数のソシャゲタイトルで2モノが発表されるようになっています。
これは、今後の投資戦略を立てる上で考察をしておく必要があります。
据え置きゲームとソシャゲの”2モノ”の違いについて
まずは、2モノが出るのが当たり前となっている据え置きゲームについて。
基本的には、ドラクエ1を作ってみて売れたとしたら、メーカーはドラクエ2の発売を検討します。
メリットは何と言っても売り上げがある程度見込めることです。
ドラクエ1をプレイして満足したユーザーは、ドラクエ2を買う可能性が高いからです。
そういう点から据え置きゲームでは、確実に売上を見込める2モノは全くの新規IPに比べて有利と言えます。
不景気の時などは、メーカーはナンバリングものに頼りすぎて新規IPが創出できなかったりします。
中期的に見ると、ナンバリングタイトルに頼り過ぎるのも経営としてマイナス面もありますけどね。
発表されているソシャゲの”2モノ”は全て並行稼働モデル
次にソシャゲの2モノを見ていきましょう。
ブログ執筆時点で発表されている主な2モノは以下の3タイトルです。
①テラバトル2(リリース済み)
②ツムツムランド(リリース済み)
③ブレフロ2(2017年冬リリース予定)
この3タイトルに共通することは、1を稼働したまま2を運営するという点です。
並行稼働というやり方もそうですが、そもそもソシャゲは運営によってユーザーに何年もプレイしてもらうという点が据え置きのゲームと大きく異なります。
ソシャゲの2モノは、据え置きゲームの2モノと同様に新規オリジナルIPに比べて有利なのでしょうか?
ソシャゲの2モノのポテンシャルユーザーを分解して考えてみる
まずは、ソシャゲの2モノをプレイしてくれそうなポテンシャルユーザーをいくつかに分解して考えてみたいと思います。
①今も1を熱心にプレイしているユーザー
①の人の大半は2をDLしてくれるでしょう。
そのまま2に移行するのか、1と2を両方やってくれるのかがポイントです。
gumiのブレフロ2のように、2モノを同じメーカーから出す場合は2への移行ではメリットは薄くなります。
2の売上は増えますが1の方が減るからです。
ここからはオジサンの推測ですが、ブレフロ1の現ユーザーがブレフロ2へ移行したり並行してプレイするのはそれなりに抵抗があると思います。
お金(課金)や時間をたくさん使って育てたキャラや武器などのゲーム資産を1のタイトルで持っているからです。
このように注意点もありますが、基本的には2モノにとって①のユーザーは最も有望なポテンシャル層と言えるでしょう。
②昔は1をプレイしていたが今は止めたユーザー
②の人は何故止めたのかを考察することがポイントです。
いろんな理由があるでしょうが、端的に言ってしまえば「飽きた」からでしょう。
飽きたというのは、そのタイトルに対してネガの印象を持っているとも考えられます。
従って、②のユーザーが2モノに大量カムバックするとは考えにくいですが、逆に②の層をどれだけ回帰させられるかが2モノ成功にとって重要だと思います。
③1のことを知っているがプレイしたことがないユーザー
③の人も大量に流入するとは考えにくいと思います。
例えば、パズドラを知っているがやったことがない人が、パズドラ2が出たとして急に飛び付くでしょうか?
パズドラ2に飛び付くくらいにパズドラに興味があれば、既にパスドラ1をDLしているはずでしょう。
据え置きゲーと違って、ソシャゲは基本無料の形式なわけですから。
③はそこまで有望な層とは考えにくいです。
④1のことを全く知らなかったユーザー
これはある意味、全くの新規オリジナルIPリリースと同じ状況です。
”2”という数字に抵抗を感じるか魅力を感じるか分かりませんが、普通の新作と同じポテンシャルユーザー層となります。
稼働中の1のアクティブ度によってさらに分類して考える
今回扱う3タイトルですが、AとBにタイプを分けて考える必要があります。
タイプA:ツムツムランド
ツムツム1がセルラン絶好調を継続中で、人気が全く衰えていない
タイプB:テラバトル2、ブレフロ2
過去には1の人気があったが、今は1のセルランが虫の息・・・
タイプAの2モノについて考える
ざっくりとしたイメージですが、タイプのAのポテンシャルユーザー構成比は下記図の様になっていると思います。
ツムツム1が好調継続中のため、①のプレイ中のユーザーが比較的多いと考えられます。
前の章で述べた通り、①のユーザーは最も2への流入が期待できる層です。
実際にツムツムランドのセルランを見ると、記事執筆時点でセルラン39位となっておりジワジワ売れているようです。
元祖ツムツムに遠く及ばないのは、これも前の章で述べた通りですが、1から2へ移行する心理的な障害が要因となっている可能性があります。
いずれにせよ、ツムツムランドの初動はある程度成功で、ここからさらに伸びるかは運営やプロモーション次第でしょう。
余談ですが、元祖ツムツムはLINE、ツムツムランドはコロプラのため、カニバリという考え方はなく単に競合です。
タイプBの2モノについて考える
同じ形式でタイプBについても考えてみましょう。
タイプBの方は昔は流行っていたものの、今はプレイしている人が少ない状況です。
上の図のように、①の人が少ない状況であると考えられます。
タイプBは本来有望である①の層が少ないことが大きなハンデとなります。
勝負は②の層をどれだけカムバックさせることが出来るかになります。
前の章で述べた通り、②の層のカムバックは簡単ではないと思いますが、ここはメーカーの腕の見せ所でしょう。
これも前の章に書きましたが、仮に②③のユーザーがタイトルに対してネガの感情を持っていたり抵抗を感じていたりするとしたらタイプBのソシャゲ2モノは前提条件が不利となります。
据え置きゲーム違って、ソシャゲの場合は2モノであることがむしろ不利に働く可能性すらあることを認識しておく必要があります。
既にテラバトル2がリリースされていますが、初動もその後もテラバトル1に比べて散々な結果となっています。
これは2モノの不利が働いたのか、テラバトル2のゲームの内容評価自体が低調な点が原因なのかは微妙なところです。
少なくともgumiへの投資を考える場合に、ブレフロ1がヒットしたのだからブレフロ2も爆発するはずという考えで取り組むと失敗する危険があります。
gumiに限らず、皆様の投資先、または投資を考えているソシャゲ銘柄が2モノを発表した時には、十分考察をしてください。
2モノのリリースはまだ前例が少ないので、今後の動向を追っていきたいと思います。
余談:gumiの犯した過ち(ブレフロ2の発表タイミング)
ブレフロ2を発表したのは昨年12月末でしたが、当時は全盛期の勢いは無いもののブレフロ1もそこそこ売り上げが出ていました。
ところがブレフロ2の制作を発表したものですから、そのころからブレフロ1のセルラン低下傾向に拍車がかかりました。
(下記図はAndroidゲーム総合セルランで、app annieより引用)
ユーザーの立場で考えると、2が出ると分かっているゲームに積極的に課金はしにくいという感情になると思います。
早い時期にブレフロ2制作の発表をしてしまったことが、ブレフロ1の失速を早めてしまったと思います。
これがgumiが犯した失敗だとオジサンは考えています。
※これはあくまでも経営・株主目線での話であって、ユーザーに対しては早めに告知する方が健全だとは思います
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