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KYB 銘柄分析

(※10/19追記)オイルダンパー不正のKYBは買えるのか!?投資家目線で精査してみた

投稿日:2018年10月18日 更新日:

オジサンです。

 

現在株式市場を(悪い意味で)賑わしている銘柄があります。

 

建物用の免震・制震オイルダンパーの不正が発覚したことにより株価が大幅下落しています。

 

KYBの不正は社会的に許されない行為で言語道断ですが、投資対象として見たときにはどのように評価できるでしょうか?

 

結論を先に書くと・・・

「リスクは高いが、十分に買える銘柄である」

と言えます。

※10/19追記

新しい追加情報によって交換費用の最大が分からなくなったので、判断が難しい銘柄になりました

 

何故そうなるのか、順番に見ていきましょう。

 

KYBとはどういう会社なのか

KYBという油圧機器大手の会社です。

自動車の振動を減らすサスペンションであったり、ショベルカーや電車のドアなどを動かすような部品を主に製造しています。

 

KYBの油圧機器は以下のような用途で使われています。

 

・自動車、2輪車向けの緩衝器や油圧機器

・建機向けの油圧機器

・鉄道、航空機、特殊車両向けの油圧機器

・建物用の免震・制震オイルダンパー

・その他

 

この中で、今回不正が発覚したのは「建物用の免震・制震オイルダンパー」となります。

検査数値を改ざんして、国の基準に満たない製品を出荷していたとのことです。

 

う~ん、酷い会社だ(+_+)

 

不正が発覚した部門が売上げ全体に占める割合はどのくらいか

様々な事業を有しているKYBですが、不正が発覚した部門の売上げはKYB全体の売上げに対してどのくらいの割合を占めていたのでしょうか。

 

以下の図は、2017年度のKYBの決算資料になります。

免震・制震オイルダンパーは赤く丸を付けた「装置・電子他」の部門になります。

売上げで見ると、「装置・電子他」の売上げは全体の2.9%しかないことが分かります。

細かい話をすると「装置・電子他」には問題になったオイルダンパー以外の製品も含まれますから、問題の製品自体が売上げに占める割合は2.9%よりもっと低くなります。

 

もう1つの下記イメージ図を見てもらうと分かりやすいですが、「免制震」の部門は会社としても将来的に力を入れようとしている部門ではありません。

不正が発覚した部門は基幹事業ではないということです。

 

不正によってどのくらいの対応費用がかかるのか

※この章はオジサンの個人的な概算となることをご承知おきください。

 

不正が発覚した免震・制震オイルダンパーですが、基本的には全て無償で交換ということになると思います。(当たり前ですが!)

これらの交換費用にどのくらいのお金が必要になりそうでしょうか。

 

まずは免震・制震オイルダンパーの基礎知識を簡単にご紹介します。

 

大きな建物の免震・制震はゴムとオイルダンパーのセットが基本

大きな建物の免震・制震はゴムとオイルダンパーのセットで施行されるのが一般的ですが、それぞれの役割というか構造を理解することが大切です。

分かりやすいように概念図を作成してみました。

 

免震については、ゴムとオイルダンパーが伸縮することによって地面から建物へ伝わる揺れを軽減します。

制震についても、オイルダンパーの伸縮によって揺れを制御するという仕組みになっています。

 

ここで構造的にゴムとオイルダンパーで決定的な違いあります。

 

それはゴムの方だけ建物の加重が常に掛かっているということです。

 

ゴムの方は地震の時に効果を発揮しますが、普段から建物を支える一部になっています。

 

一方で、オイルダンパーの方は地震の時に伸縮して効果を発揮しますが、普段は何もしていません。(風による揺れを軽減はしていますが)

 

ゴムとオイルダンパーの構造的な違いによって、ある決定的な事象が起こります。

 

それは・・・

 

オイルダンパーの方が交換作業が圧倒的に簡単

(以下の写真を見ても簡単そうに見えるね)

 

そもそも将来的に交換する前提で設置されるものですが、オイルダンパーは交換する時に大規模な工事を必要としません。

また、交換作業中も建物内部に人がいて問題ありません。(これはKYBにも電話で確認済み)

 

※10/19追記

本日、再度KYBに電話で確認したところ、制震ダンパーは壁に埋め込まれているケースもあるため壁を破壊するような大規模な工事が必要になる場合があるとのこと。
(昨日に電話で答えてくれた女性とやや異なる回答をされました。)

 

つまり、交換作業中の事業所の休業補償やマンション居住者のホテル費用などの負担が発生する可能性は低いということです。

※10/19追記

制震ダンパーの交換については休業補償が発生する可能性があります

 

また、オイルダンパーについては1本ずつ順番に交換しても問題がないため、万が一作業中に地震が起こっても安全は確保されると言われています。

 

オイルダンパーの値段ってどのくらいなの??

これはKYBに電話で確認をしました。

 

建物の構造や仕様によって異なるということですが、平均するとざっくり以下のような価格感らしいです。

 

免震用オイルダンパー 約100万円/本

制震用オイルダンパー 約70万円/本

 

個人的な感想としては意外と安いなぁって思いました。

 

報道によると、交換が必要になるオイルダンパーの本数は1万本に達すると言われています。

 

数的には制震用の割合が圧倒的に多いはずですが、仮に1万本全て免震用だとしたら費用は最大で100億円ということになります。
(たぶん製造費用で言うともっと安いかもしれません)

 

かなり悲観的に色々対応費用とか含めても150億円から200億円には収まると思います。

 

※10/19追記

制震オイルダンパーの交換には大規模な工事が発生する可能性があるため、最大費用の目安は分からなくなりました。KYBの電話担当者は資金が無くなって交換が出来なくなる事態は避けると言っていました。

 

KYBの支払い能力はどうなの?(財務チェック)

費用の最大目安が見えたところで、今度はKYBの財務をチェックしましょう。

直近の1Q決算短信の貸借対応表を確認しました。

主な項目をピックアップします。

 

・流動資産:約2100億円(その内、現預金が約400億円)

・資産合計:約4100億円

 

・流動負債:約1700億円

・負債合計:約2200億円

 

自己資本比率約45%

 

ハッキリ言って、前章の算出費用が概ね正しいとしたら余裕で対応できる財務であるといえます。

 

ただし、事件銘柄はハイリスクだという認識が基本です!

前の章までを見ると、主力事業でないこと、交換費用、良好な財務といった要素からKYBへの投資は問題ないように思います。

 

しかしながら、投資の格言に「事故は買い、事件は売り」というものがあります。

今回の件は完全に事件。

 

見えないリスクが潜んでいる可能性があります。

 

例えば、

・まだ報道されていない悪材料が出る

・実は主力の自動車事業などでも不正をしている

・会社の信用失墜による主力事業への影響が出る

・今回の件に絡んだ何らかの減損損失の計上

 

ざっと考えただけでも、しばらくは何が起きるか分からないと言えるでしょう。

 

論理的に考えると現在のKYBの株価水準は買える水準だと言えそうですが、あくまでもハイリスク案件だという認識を持って挑む必要があります。

 

 

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-KYB, 銘柄分析


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