オジサンです。
今回は、バリュー株投資とグロース株投資をテーマにした記事を書きます。
バリュー株投資とグロース株投資の違いはもちろんのこと、実戦への活かし方までを扱います。
自分はバリュー株投資とグロース株投資のどちらをやろうとしているのかを認識していないと、思わぬ大失敗に繋がることが多々発生します。
ぜひ、この記事の内容を参考にしてください。
バリュー株投資とグロース株投資とは?
まず、株価を分解すると以下の公式が成り立ちます。
株価 = PER × EPS(1株利益)
この式を使ってバリュー株投資とグロース株投資の違いを簡単に説明すると以下のようになります。
<バリュー株投資>
主にPERが企業の実力値に比べて低く放置されている銘柄に対して、割安の是正(PERの上昇)を期待して投資を行う手法になります。
<グロース株投資>
企業の成長(EPSの上昇)に期待して投資を行う手法になります。
一応補足だけしておくと、バリュー株については下値の限界値の目安としてPBRや配当利回りなども見られることがあります。
また、グロース株については先行投資として販管費や開発費を多く積む企業が多いことから、利益(EPS)ではなく売上の伸びに注目されることも多くあります。
いずれにせよ、「割安の是正期待」か「成長期待」かという部分が2つの投資手法の大きな違いとなります。
バリュー株投資とグロース株投資の強みと弱み
2つの投資手法ですが、お互いに強みと弱みがあります。
お互いに強みと弱みがある両者ですが、要約すると「守りが得意なバリュー株投資」「攻めが得意なグロース株投資」という構図になります。
一長一短ではありますが、どちらがおススメかと言うと「グロース株投資」の方が株式市場の醍醐味を享受できると考えられます。
まず、歴史的にグロース株投資の方がバリュー株投資に比べてパフォーマンスが良いという点が挙げられます。
後で詳細を述べますが、バリュー株には割安に放置される理由があるものが多いので、結局は安いままであまり上がらないということになりがちです。
また、利回り目当てでバリュー株を狙うのであれば、敢えてリスクが高い株式投資を行わなくとも米国債等の債券投資という選択肢もあります。
やはり株式投資を行なうとしたら、少なくともある程度はグロース株を混ぜていかないと旨みが少ないと言えるでしょう。
次の章から、それぞれの手法について注意点も含めて詳細を説明します。
バリュー株投資の詳細
冒頭で、バリュー株投資とは割安の是正(PERの上昇)を期待して投資を行う手法と説明しました。
しかし、この言葉を鵜呑みにして低PER銘柄を買うと失敗することが多いので注意が必要です。
PERが低い銘柄は低いなりの理由がある場合が多い
一般的に、相場が平常時においてPERが低い銘柄にはそれなりの理由がある場合が多いです。
①その銘柄(あるいは業界)が成熟産業で成長率が低い
②今後の業績に対する不透明感が強い(安定性にかける)
①その銘柄(あるいは業界)が成熟産業で成長率が低い
例えば、石油元売り各社では低PERの銘柄が多くなります。
石油は日常生活や産業に不可欠なものですから、需要がなくなることはありません。
一方で、経済成長がストップしている日本において石油の需要が急増することは誰もイメージできません。
このように、将来の利益増加(EPS上昇)が見込めないような企業は低PERで放置されやすいことになります。
②今後の業績に対する不透明感が強い(安定性にかける)
このパターンでは不動産や鉄鋼関連が好例でしょう。
これらの銘柄は直近で業績が伸びていても低いPERで放置されていることが多いです。
その原因は業績が市況によって大きく左右されることです。
これらの業界は、例えば金利、不動産価格、コモディティ価格といった経済情勢によって大きく業績が変動します。
直近の業績が良かった(EPS上昇)としても、数年後の見通しが難しいために低いPERから脱せないのです。
市場は成長の安定性を評価する傾向が強いものです。(一過性の特別利益なども株価に反映されにくいですよね)
PERが低い理由が是正されるきっかけがあるような銘柄はバリュー株投資に適する
前の章で見た通り、バリュー株にはバリューになっているそれなりの理由があるために、いつまでもたっても割安が是正されないというジレンマに陥りがちです。
(やみくもに低PER銘柄を狙って失敗する人のことを低PER貧乏などと揶揄することも・・・)
しかし、パフォーマンスが低くなりがちなバリュー株投資にも格好の投資機会が生まれるケースがあります。
それは、PERが割安に放置されている理由が見直されるきっかけ(カタリスト)が発生したタイミングです。
例えば、低PER業界の例として挙げた石油元売り会社について考えましょう。
出光であれば、新規事業として有機ELディスプレイ向けの材料開発・販売を行っている部門があります。
このように、新規事業の開始であったり、事業環境の変化によって低成長率が覆るようなカタリストがある場合は低PERが是正されやすいでしょう。
(出光の有機EL材料については業績全体に対するインパクトはまだ小さいでしょうが、例えばの話)
不動産業では低PER放置の理由として業績の不透明感がありました。
これも、例えば日銀が低金利政策を長期化するというアナウンスを行なったり、大阪万博といった中期的に地価上昇に寄与しそうなカタリストが発生した場合は業績の不透明感が払しょくされるかもしれません。
この章のPOINT💡
・バリュー株が割安に放置されているのは理由があるケースが多い
・割安放置の理由が是正されるきっかけ(カタリスト)がある銘柄は投資チャンス
グロース株投資の詳細
再掲になりますが、グロース株投資とは企業の成長(EPSの上昇)に期待して投資を行う手法です。
比較的、中小型株や新興市場の銘柄に該当するものが多くなります。
これらの銘柄は、バリュー株と違って上がる場合の上昇率が大きくなる傾向があるため大変魅力的です。(短期で2倍とかも狙える)
EPSの上昇に期待する手法なので、多少の高PERには目をつぶるべき
グロース株投資を行なう場合は、多少PERが割高に見えても積極的に投資するべきケースが多くあります。
現在のPERが割高であっても、将来的にEPSが伸びるであればPERも下がることになるからです。(株価が一定ならば)
一般論ですが、概ねEPSの伸び率と適正PERの表を掲載しておきます。
一般論で見ると、EPSの年間成長率が30%を当面キープできるような銘柄であればPER40倍でも全く割高ではないことになります。
株価上昇中のグロース株を見て「こんなにPERが高いのに何故買われるんだ」という人はグロース株に対する理解が不足していると言えます。
注意点として、上記の表はあくまでもEPSベースで見た場合です。
実際のグロース株は広告宣伝や設備投資といった先行投資が発生することが多くありますので、売上だけ伸びていれば良しとされることも多いです。
先行投資の部分を除いた実質の利益創出力で評価すると良いでしょう。
グロース株投資では成長鈍化時の暴落に注意が必要
波に乗った時の上昇率が魅力のグロース株ですが、あくまでも期待先行で株価上昇することが基本です。
逆に、期待が剥落(成長鈍化)した場合の下げの勢いはバリュー株の比ではありません。
将来のEPS上昇を期待していたのに、そこに疑念が生じたなら暴落するのも当然です。
成長鈍化の要因について分析が必要ですが、仮に恒常的に成長が期待できなくなった場合は保有をおススメしません。
買った時の理由がグロース株投資であれば、買った理由(成長期待)がなくなれば売却するのが基本でしょう。
初心者がよくやる失敗が、グロース株投資をしているつもりが気付いたらバリュー株投資を行なっていたというケースです。
例えば、成長性に期待して買ったグロース株A(PER30倍とする)の成長が止まって株価が暴落したとします。
株価が3分の2まで下がったら(PER20倍)、そろそろ安くなったから買おうかとナンピンをしてしまいます。
割安是正に期待する手法はバリュー株投資ですので、そうであればPER15倍くらいまで落ちるのを待つべきかもしれません。
実際には、さっさと他の成長銘柄に移行した方が良いことが多いですが。
パニック相場時にもグロース株は売られやすいが・・・
2018年の12月といった日経平均が急落するような場面(パニック相場)では、グロース株の下げ幅はバリュー株より大きくなりがちです。(バリュー株も下がりますが・・・)
大抵、パニック相場というのは下に行き過ぎることが多いので、暴落の初期ではグロース株のポジションを減らした方が安全です。
一方で、パニック相場というのはグロース株投資を行なう上で格好のチャンスにもなります。
パニック相場が起きた理由を分析し、それが狙っているグロース株の業績に関係あるかどうかを見極めましょう。
関係ないのであれば、暴落が落ち着いた時にそのグロース株を買えば非常に大きなリターンを得られることが多いです。
グロース株投資について、パニック相場の初期では安全第一のポジション縮小が基本ですが、ファイティングポーズを降ろさずに買い直せるタイミングを伺いましょう。
この章のPOINT💡
・グロース株投資は、高PERであっても高い株価上昇率が見込めるので魅力的
・成長が止まった時には手放すことが基本(成長鈍化の要因分析は必要)
・パニック相場の時こそグロース株の買いを検討しよう
バリュー×グロース株というハイブリッド銘柄もある!
ここまでバリュー株とグロース株について説明してきましたが、両方の要素を持つハイブリッド銘柄も市場には存在します。
ハイブリッド銘柄が爆誕する例として多いものを挙げておきます。
①バリュー株が何らかのカタリストによって成長期待を獲得する
②パニック相場による行き過ぎの下げで、グロース株がバリュー要素を獲得する
③市場関係者に注目されていない、業界のイメージ等といった企業価値と関係ない要素でハイブリッドのまま放置されている
このようなハイブリッド銘柄については非常に妙味があると言えるでしょう。
皆さんもぜひハイブリッド銘柄を発掘してみてください!
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