本日は日経が小動き、マイPFも小動きで面白くない日が続きます。
引け後に香港和解のビッグニュースが飛び込んで来ましたので、明日の相場には期待です!
しかし、今日は某くら寿司を空売りしたので上がり過ぎてもなぁ。
ちぐはぐなトレードが多いです!
【本日の成績】
前営業日比 | -37,717円 |
9月単月累計 | +103,789円 |
2019年累計 | +25,091,229円 |
[本日の主な売買]
(買い)
スクエニ、ダイキン工業(買い増し)
⇒チャートも落ち着いてきたので調整買い増し
(売却)
くら寿司(新規空売りIN)
⇒金曜日の決算を空売りで跨ぐ予定
タカラレーベン(一部売却)
⇒今日も下がったので1割くらい調整売却
DeNA(一部売却)
⇒ポケマスのガチャ期待で昨日買った短期分を売却
セルランは上がったけど、思ったより運営が緩い感じがする
くら寿司を空売りした経緯(くら寿司企業分析)
先月からスシローの買いで利益を上げているオジサンですが、今日は同業のくら寿司を空売りしてみました。
9/6(金)に3Q決算発表予定です。
業績が絶好調のスシローですが、回転寿司の国内市場自体が急拡大しているわけではありません。
各社で明暗が分かれつつあるという状況です。
企業分析をした結果、くら寿司は当面厳しいと見て空売りを実行した次第です。
企業分析プロセスの一部をご紹介してみます。
くら寿司の直近業績を確認
まずはくら寿司の今期業績を確認してみましょう。
2Q決算短信を引用します。
前年に比べて売上高は少し伸びていますが、営業利益以下の数値が前年比で軒並み3割以上減となっており厳しい数字です。
売上が伸びているけど営業利益が減っているとは、言い換えると営業利益率が落ちているということです。
まとめると、くら寿司は前年に比べて売上は増えているけど利益率が落ちているから業績が悪化していると言えます。
オジサンの企業分析手法では、利益率が落ちている原因についてアプローチしていきます。
PL(損益計算書)を分析して営業利益率が落ちている原因に迫る
では、何が原因でくら寿司の営業利益率が落ちているのかを分析しましょう。
PLの中から今回見るべき数字を下記表に抜粋してみました。
語句説明をしておきます。
原価:売上を生む商品に直接掛かるコスト(魚代、シャリ代、寿司ネタに加工するための工場費用など)
販売費:原価をかけて作った商品を売るためのコスト(広告費、店の人件費、店の家賃など)
一般管理費:企業が存続する上で必要なコスト(採用費、一般事務・経理・人事などの人件費、本社の家賃など)
※販売費と一般管理費を合わせて販管費と呼びます
PLを分析してみると、1Q、2Q共に売上に占める原価の割合(原価率)は今期と前期でほぼ変わりません。
つまり、魚の仕入れ値が急に上がったりしているわけではないということです。
原価率の低いサイドメニューが好調であれば原価率が下がることがありますが、それも起きていないようです。
とにかく、原価率は前年から変わっていないので問題ありません。
次に販管費を見てみましょう。
売上に占める販管費の割合(販管費率)は、前期に比べて1Q、2Q共に2ポイント前後上昇しています。
「営業利益=売上-原価-販管費」ですから、くら寿司の営業利益率を押し下げた原因は販管費率の上昇です。
次の節では、販管費率が上昇してしまった理由を分析したいと思います。
販管費率が上がった原因に問題があるのか?
販管費率が上がると利益率にはマイナスに働きます。
しかし、必ずしも販管費率が上がることが悪いとは言い切れません。
例えば、積極的な広告投資、合理化のためのIT投資ということもあるからです。
今期の販管費率が上がろうとも、それが未来に向けた有効な先行投資であればむしろ評価するべき場合もあります。
くら寿司についてはどうなのかと思い、IRの人と議論してみました。
議論を総合すると、販管費率が上がった理由として主に2つのポイントが見えてきました。
①最低賃金上昇による人件費負担増
②売上の伸び悩みによる新店コストの比率増
①についてですが、全国的に年々アルバイト等の人件費が上昇しています。
くら寿司の場合は、前年に比べて3%程度の人件費増加があったそうで、それによって販管費率を1ポイント程度押し上げる影響があったそうです。
これはくら寿司が悪いわけではなく、スシローなどでも同様の影響が出ているはずです。
ただし、スシローの場合はIT投資などによる合理化推進で人件費増を吸収することが上手な企業だと思いますが。
②の方は結構問題だと思ったので、次の節にまわします。
くら寿司は既存店の調子が悪い
②の「売上の伸び悩みによる新店コストの比率増」とはどういうことでしょうか。
ここでくら寿司が開示している月次売上速報を引用してみましょう。(データは国内売上が対象)
この数字を見ると、1Q、2Q共に既存店の売上高が前年割れしていることが分かります。(赤く囲った部分)
新店の貢献を含む全店ベースで比べても前年比で上半期トントン(99.5%)です。
つまり新規出店によって増える売上分を既存店のマイナスで食いつぶしてしまっている状況です。
さらに、新規出店は人件費や家賃、内装費などのコスト増を伴います。
従って、新規出店による売上増に頼る構図になっているため販管費率が上がってしまっているのです。
尚、これから発表される3Q期間(5月~7月)ですが、月次速報を見る限りは既存店の状況が全く改善していません。
オジサンはこれらの情報を総合して「くら寿司ダメじゃん」と思ったのです。
先行投資による利益率低下ではなく、人件費増と単に店の調子が悪いから利益が減りましたと・・・
悪い理由での利益率低下が起きています。
尚、くら寿司の既存店の調子が悪い理由についてはリサーチ出来ていません。
本気を出すなら、実際に店に行ったり、ネット上の評判やデータを分析したりします。
今回はそこまでは必要ないと思ってやっていません。
少なくともスシローは絶好調なので、回転寿司業界の問題というよりはくら寿司自体に問題があると言えそうです。
くら寿司の今期会社予想達成はかなり厳しいと見ている
私見ですが、くら寿司の今期会社予想達成はかなり厳しいと思います。
何故ならば、2Qが終わった時点で経常利益の進捗率が35%しかないからです。(昨年は2Q時点で57.6%進捗)
業態的に特に下期偏重ということもありません。
利益について下期でV字回復するには、売上を増やすかコストを減らすしかありません。
売上については月次速報を見れば3Q期間も苦しいことが容易に分かります。
コストの方もこれまでの分析を見れば分かりますが、前年からのコスト増要因は下期で簡単に減らせるコストではないのです。
バイトを減らしたり給与を下げることは無理です。
新店はいくら出しても初期コストが大きいので、利益を出すなら既存店を伸ばすしかありません。
このような理由から、3Qの決算数字が厳しくなると予想して本日くら寿司空売りを実行しました。
株は奥が深いのでそこまで大きな金額を空売りはしない
3Qの決算が悪いだろうことはおそらく正しいでしょうが、それでも空売りの額は限定的にしています。
織り込み済みという可能性もあるからです。
ポイントは下方修正の有無になりそうです。
くら寿司は過去の決算を見ると、かなり進捗が良い、悪い時でも上方修正や下方修正をほとんど出していません。
今回の3Qも絶対下方水準と思われるような悪い数字でも下方修正を出さない可能性があります。
その場合に思惑通り株価が下がってくれるかよく分かりません。
業績が悪ければ必ず株価が下がるという程に投資は単純ではありません。
奥が深いからこそ、ベットする金額は限定的にしたいと思います。
あまり慣れていない空売り持ち越しなので尚更。
後書き
今回は久しぶりに長文形式の企業分析を記事として取り扱ってみました。
数字の動きには必ず理由があるのです。
ちまちま数字を分析するのは地味でしんどいのですが、新しい発見があったりして楽しいです。
探偵になったつもりで、仮説を立てたり真相に迫ったりしましょう。
皆様もぜひ企業分析にチャレンジしてみてください!
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