※本ブログは詳細解説がウリなのですが、内容が長いという指摘も受けたので冒頭にポイントを箇条書き
・貸し倒れ引当金はミラクロの影響
・ミラクロの損切りは2018年12月期に向けた英断
・為替差損の原因はよく分からない(スミマセン)
・多額の営業外費用を計上したのに下方修正が出ない程、4Qのゲーム事業は好調であった可能性が高い
以下本文↓
4Q決算の前営業日に蟹さんから営業外費用のIRが発表されました。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1555339
内容を要約すると↓
①貸し倒れ引当金として約2.6億円(全額個別※)を4Qに損失計上
②為替差損を4Qに約3.1億円(個別では約3.2億円)計上
※個別とは基本的に単体(親会社)のことを指します
(つまり、②については連結子会社だけでみると0.1億円の為替差益があったものと考えられます)
つまり、合わせて6億円近い営業外費用が4Qに発生するというお知らせです。
4Qにて上方修正を期待していたホルダーからすると寝耳に水の状態で、Y板やツイッターなどで一部混乱が拡がっていました。
果たして、今回の損失はどこからきて、何を意味するのでしょうか。
FY18への影響も気になるところです。
オジサンの知識と独自視点で解説します!
貸し倒れ引当金の計上はミラクロに絡むものの可能性が高い
まずは①の貸し倒れ引当金です。
そもそも貸し倒れ引当金とは、貸付金や売掛金が回収できない場合に備えてあらかじめ会社側で資金をプールしておくものです。
(損失として計上できるので、税務上はやや有利となります)
回収できない場合とは、回収する前に相手方が倒産したり、支払い能力が無かったり、契約上回収できなくなった場合などを指します。
普段は売上の一定割合を貸し倒れ引当金として計上しますが、具体的に回収不能な見込みが発生した場合は急遽積みます必要があります。
それが12月のミラクロ譲渡(損切り)だと考えています。
Klabのゲームパイプライン内製と外製による違いについて
貸し倒れ引当金の件がミラクロだと推測したことを説明するには、まずはKlabのビジネスモデルを整理しておく必要があります。
Klabのゲーム開発のパイプラインには内製と外製があります。
内製は文字通り自社の資金と人員でゲームを開発・マーケティング・運営まで行なう方式であり、説明は不要でしょう。
問題は外製です。
Klabの外製パイプラインのビジネスモデルは下記図のようになっています。
このビジネスモデルはKlabと外注先の双方にメリットがあります。
【Klab側のメリット】
・自社の人員を増やさなくてもゲームのパイプライン本数を増やせる
【外注側のメリット】
・開発資金をKlabから融資してもらえる
・Klabからノウハウなども支援してもらえる
Klab側ですが、過去に人員を増やしすぎて利益が出ない体質になり、リストラをやりまくったという黒歴史があります。
最近は業績好調でお金はあるのですが、急に人員を増やすことに抵抗があります。
外注側の一番のメリットは資金を融資してもらえることです。
具体的な社名を見ると、アクセルマークなどといった赤字続きで資金に余裕のない会社が多いです。
自社の資金だけでは足りない、あるいはリスクが高すぎる場合でも、Klabとの協業によって問題を解決できます。
Klab側が開発資金を全額融資しないのは、外注側にもリスクを取らせて危機感を持ってもらうためだと真田社長が2Q決算説明会動画の中で発言しています。
12月のミラクロ譲渡の意図は?
12月にKlabから突如ミラクロをマグノリアファクトリーに譲渡するとのIRがありました。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material&sid=83981&code=3656
譲渡した金額は分かりませんが、マグノリアへの融資金額より少ないことは確実です。
前章のビジネスモデルから考えると、融資金額より高い価格でKlabからゲームを買い戻すならば、最初から自己資金で開発した方が100倍マシだからです。
おそらくKlabは相当安い金額か、あるいはタダで譲渡したと考えられます。
Klabが譲渡した理由は、おそらくゲームの出来具合がKlabの考える水準に大幅に達していなかったからでしょう。
譲渡していなかったら、開発資金以外にパブリッシングやプロモーションの費用までKlabは負担しなくてはなりません。
さらにその費用は2018年12月期に悪影響を与えます!
タダ当然の価格であっても、損切りした判断は英断と言えるでしょう。
ミラクロのリリース後の結果は泣かず飛ばず・・・
Klabの判断が正しかったのか、ミラクロのセルランは散々な結果になっておりまして、運営費(減価償却含む)すら稼げていない可能性が高いです。
もしかすると、ミラクロが売れていれば融資分だけは返ってきていたかもしれません。(契約内容が分からないのでハッキリとは言えませんが)
つまり、ミラクロの開発費用として融資していたお金が返ってこない見込みになったので、今回の貸し倒れ引当金の積み増しを余儀なくされたと考えています。
(金額的にも、概ねゲーム開発費用の金額感と合致します)
融資金はとっくにマグノリアに振り込んでいるはずなので、今回の損失にてキャッシュフロー上でお金が出て行くことはありません。
会計上で経常利益が減るだけです。
少なくとも貸し倒れ引当金とラーメンは関係ありません!
ネット上の一部では、ラーメン事業の譲渡による損失だという結論に至っているようですが、ラーメンは関係ないと思います。
それを否定する側の根拠は2つ。
・営業外費用計上のIRに全額個別(≒親会社単体)との記載がある
(ラーメン事業をやっているのはKFCという連結子会社)
・併せて出たお知らせで、非ゲーム事業の譲渡に関する影響は軽微と言っている
非ゲーム事業の譲渡はあくまでも選択と集中であり、今回の営業外費用とは関係ないと考えています。
今後も貸し倒れ引当金の積み増しは発生するのか?
理論上は外製ゲームの分では発生する可能性が今後もあると思います。
ただし、内製ゲームでも減損という可能性があるのと全く同じです。
ゲーム会社としては常に背負うリスクなので、減損や引当金の積み増しをただただ恐れていてはゲーセクに投資は出来ません。
2つ目の為替差損の件はよく分かっていない
すいません、2つ目の為替差損についてはオジサンも何故4Qに発生したのかわかっていません。
個別中心と書いてあるので、少なくともゲーム事業で発生したものだとは思います。
それ程に急な為替変動は無かったと思いますが、何故発生したのかは後日IRに問い合わせをしたいと思います。
あるいは真田社長からの説明があると思います。
6億円近い営業外費用を計上したのに、下方修正が出ていない!
今回の営業外費用のIRに驚いてしまったホルダーもいると思いますが、逆に言うと6億円も損失を出して下方修正が出ない程にゲーム事業が好調だったと考えられます。
この6億円という数字を逆手にとって、4Qのゲーム事業の成績や2018年12月期の会社予想の予想が出来るのではないかと考えています。
ミラクロという膿を出し切って、事業の選択と集中(コスト削減)も行なって、万全の体制で2018年12月期の数値が出るのではないかと思います!
そちらについては連休最終日までに記事をUPしたいと思います。
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